本屋大賞を受賞した著者の代表作の一つ、「守り人」シリーズの第一弾です。
どうして本屋大賞を獲った「鹿の王」から先に読まないのか。それは私が天邪鬼だからであり、賞を獲る前にはどんな傾向の作品を書いていたのか、ということに興味があったからです。
確かに今までは賞を獲った作品を優先的に読んでいました。でも、その著者の書く物語の傾向が、まず自分に合うかどうかの方が大事だなと気付いたんですね。楽しめるかどうかは、そこに掛かっている。いくらすごい賞を獲った作品でも、合わなければ間違いなく楽しめない。こんな当たり前のことに気付くまでに随分と時間が掛かってしまったものです。
さて本作についてです。私には馴染みのない児童文学と呼ばれるジャンルの作品で、異世界ファンタジーのお話です。ただ、児童向けの話だというのに、主人公が三十代の女性とは此れ如何に。
精霊の守り人 (新潮文庫)
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私としては微妙に感情移入しづらかったですね。少年少女たちが読んで、果たして感情移入できるのでしょうか。
話の筋は子供でも追えるシンプルなものです。ただ漢字や言葉が児童向けとは言い難いです。大人でも、読んでいる途中で辞書を引くかもしれません。
共感できたところと言いますか、この物語の言いたかったことは、これなんだろうなってところを抜粋しておきます。
「なぜ、と問うてもわからない何かが突然、自分を取り巻く世界を変えてしまう。それでもその変わってしまった世界の中で、もがきながら、必死に生きていくしかないのだ。誰しもが、自分らしいもがき方で生き抜いていく。まったく後悔のない生き方など、きっとありはしないのだ」
現実に置き換えて考えてみると、例えば学生だった人間が就職して社会人になった時、あるいは中学から高校に進学した時なども、自分を取り巻く世界が変わってしまいますね。誰しも子供のままではいられない。いずれは自力で五里霧中、暗中模索ででも道を切り拓いていかねばなりません。たとえどんなに無様であっても、です。
辛い、苦しいと思う時もあるでしょう。もっと華麗に生きたいものだと、己の境遇を呪うかもしれません。だけどそうした姿もまた受け入れるべき自分の生き様であり、その中であがく、もがく姿こそ生きるということなのだと私は思っています。
読書期間:始)2015.4.16 ~ 終)4.17
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