転校してきた榊原恒一は、自分を取り巻くクラスの雰囲気に違和感を覚える。
不思議な存在感を放つ同級生、見崎鳴(ミサキ メイ)に惹かれる恒一。
接触を試みる恒一だったが、無視され続ける。
いや、ただ無視されているのではない。何かがおかしい。
そんな中、クラス委員長の桜木が凄惨な死を遂げた。
榊原恒一に見崎鳴が呟く。
「気をつけて。もう、始まってるかもしれない」
……一体何が始まっているというのか。
謎は深まるばかりだった。
いわゆる学校の怪談話の類を題材に、本格推理とホラーを合体させたようなお話です。
昔起きた事件を境に「当たり年」になってしまったそのクラスでは、いるはずのない者が紛れ込み、1人増えます。
「当たり年」かどうかは新学期のクラス編成時に、机が一組足りないという事件が必ず起きるので、それで判明しますが、いるはずのないその「誰か」が一体誰なのかは分かりません。
「当たり年」の予兆があった時は、クラスの誰か1人をいないものとして1年間徹底的に無視し続け、クラスの人数を無理やりプラスマイナス0として一人増えていないことにすることで、この現象を未然に防ぐことができます。
ですが何も知らない主人公が見崎鳴に話し掛けてしまうことで、その現象は始まってしまう、というわけです。これはこれでありで、面白いです。
Another (上) Another (角川文庫)
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推理小説的な展開としては誰がその「いないはずの者」なのか、というところです。ホラー的な展開としては、理不尽にその現象は起きてしまい、次々と犠牲者ともいうべき死者が増えていくという点です。
ホラーの部分はゾッとしていいんですが、推理小説的な部分については、綾辻氏の叙述トリックの手法はどうしても姑息という印象を持ってしまいます。
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