著者の外山氏が言わんとするところを、今回は自分なりに解釈して簡潔にまとめてみた。
知的活動とは何なのか? 以前のそれは、単純な「知識や情報の記憶と再生」であった。そしてそれしかできない人間を、著者はグライダー人間と喩えて呼ぶ。
以前であれば、そのような人間が優秀と見做され、持て囃された。しかし今は違う。コンピューターという機械が現れ、もはや「知識や情報の記憶と再生」と云う機能において、人間は完全にその仕事を奪われてしまった。
そこで人間にしかできない、新たな知的活動が模索された。そうして辿り着いたところが、知的創造なのだ。それができる人間に、今は注目が集まるようになった。そのような人間を、著者は飛行機と喩えて呼ぶ。
思考の整理学 (ちくま文庫)
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では知的創造をするには、どうすればいいのか? そもそも知的創造とは何なのか?
知的創造を行うには、まず知識や情報の整理が必要だ。これは脳のキャパシティに余裕を与えるためにも必要だ。一度脳に取り入れた知識や情報を、メモやノートに書く。書くと云う言語化作業を経て、それまでバラバラに記憶されていた知識や情報が、体系化される。
中には、体系化されずに余ってしまうようなものもあるが、時間の経過と共に増える、新たな知識や情報と結びつく可能性は十分ありえる。とは言え、だからと言って全ての知識や情報を頭に残しておけば、溢れ返って脳のキャパシティを圧迫してしまう。そこで「自分」にとって何が重要で、何が重要でないかを考えて、知識や情報の選別作業を行う。その際に、自分の関心の向かう先がどういう種類のものなのか、意識的に再確認をする。すなわちこの再確認こそ、自己の個性の再確認に他ならない。
知的創造には言語化による、知識の抽象化と体系化が必要だ。さらにこの整理作業には、意識的な個性の再確認という作業が伴う。
知的創造とは様々な事象から得られた知識や情報を、己の個性の下で選別し、結びつけていく作業が、まずその第一歩である。そして、そのようにして結びついて生まれた、新たな知識体系や概念を活用して行う知的活動こそ、知的創造と言えるのである。
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