「ソードアート・オンライン (1)~(2)」川原礫 (電撃文庫)

2012-11-17

川原礫

t f B! P L


世界初のVRMMORPG(仮想現実空間内、多人数参加型ロールプレイングゲーム)「ソードアートオンライン(SAO)」の正式サービスが開始された。

ナーヴギアと呼ばれるヘッドギアを装着し脳への電気的刺激を与えることで、プレイヤーはゲームソフトが作り出す仮想現実空間内で全体感型のゲームを楽しめるというものだ。
SAOはサービス開始初日には一万人が参加するという大盛況振りで、それまでのゲームの常識を覆す革新的なゲームだった。

だがゲームからログアウトできない不具合にプレイヤーたちが気付く頃、ゲームマスターにして開発者である茅場晶彦がゲーム内アナウンスで宣言する。

SAOから自発的ログアウトができないことは不具合ではなく仕様であること、ゲーム内で死亡すれば現実世界のプレイヤー自身も死亡すること、そしてボスを倒しゲームをクリアすることだけがこの世界から脱出する唯一の方法であること。

そのアナウンスを聞きながら、プレイヤーの一人、桐ヶ谷和人はかつて雑誌のインタビューで茅場晶彦が口にしていた言葉を思い出していた。

――これはゲームであっても遊びではない。

こうしてゲーム参加者1万人の悪夢は始まったのだった。

 アニメを観たところ面白かったので、原作の小説の方にも手を伸ばしてみました。いわゆるライトノベルと呼ばれるジャンルですね。何をもって「ライト」なのかはよく知らないのですが、気軽に読める小説ですね。

 最新の技術を駆使したゲーム機で仮想現実にどっぷり使って、ゲーム内のキャラになりきって遊ぶというのは、ゲーマーであれば確かに憧れる世界ですね。
 難しく考えるとゲームよりももっと違うことに使われるべきシステムで、使用する上で厳重な注意が必要なのもののようにも思えますが、あくまで娯楽小説ですから、この程度のことで目くじらを立てたりはしません。


 内容的には主人公が無双の強さでモンスターをバンバン倒していくという話なので、強い主人公がひたすら活躍するストーリーが好きな人は嵌ると思います。
 個人的にはライトノベル全体に蔓延する、理由無きモテが許せません。容姿が良い訳でもなく、性格もごくごく平凡で何の特技もなく、ただ何となく惰性で生きてるようなモブのような主人公キャラが、何故か美少女にモテまくるというアレです。

 「ソードアート・オンライン」の主人公はゲーム内での圧倒的な強さがあるので、まだ許せそうな気もするんですが、ただ強いだけでモテる訳がないのです。いや、モテてもいいんですけど、好意を寄せてくるのが美少女ばかりなのが、気に入らないのです。
 ヒロインが主人公に好意を持ち始めるエピソードにしても、「え? その程度のことで好きになりますか? だったら僕も好きになってくれないとおかしいです」と異議を唱えたくなります。

 それ以外は主人公が活躍してすっきりする感じのお話で、VRを採り上げた近未来SF的な世界設定など個人的には結構好きです。
 ちなみに(1)が本編で、(2)の方はエピソード集となっていますが、主人公とヒロインの出会いの辺りの時系列が若干おかしなことになっています。本来なら(1)の本筋の合間に時系列に沿って(2)のエピソードを加えつつ、上下巻というボリュームにまとめて矛盾をなくすのが最良だったんではないかと思われます。

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