「呪われた町」S・キング (集英社文庫)

2012-08-26

海外の作家

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町を題材にした小説執筆のため、幼い頃を過ごした町に舞い戻った小説家ベン。
幼かった自分に底知れない恐怖を抱かせ、今も変わらぬ畏怖を抱かせる呪われた屋敷「マーステン館」は、昔同様に今も不吉の象徴として丘の上に建ち、町を見下ろしていた。
少年の行方不明事件を皮切りに、町の人間に不可解な死が続き、さらにはその遺体までもが次々に消失していく。
マーステン館の新たな住人の不審な影が見え隠れする中、ベンたちはこれらの謎に迫ろうとマーステン館へと足を運ぶのだった。
 アニメの「屍鬼」を観て、その元ネタになったという本作品「呪われた町」を読んでみました。ちなみに「屍鬼」の小説の方は未読です。

 大雑把な感想としましては、妙なリアリティがあるホラー小説、といったところです。
 前半、主人公を含め、いつも通りの日々を送る町の住人達の姿が細部に至るまで描写されています。この辺りの描写もおよそ荒唐無稽とも言える本作品にリアリティを与えている要素の一つだと思えました。


 吸血鬼といえば当然怪物の類であり、空想の産物です。その能力も現実にありえないものばかりです。「呪われた町」に出てくる吸血鬼も様々なありえない能力を持っているのですが、どちらかというと人間同様に現実の様々な制約を受ける生身に近い怪物です。

 例えば町に吸血鬼がどのように侵入してくるのかお話しますと、イギリスから船便で荷物として送られてくるんです。あとマーステン館に住み着くわけですけども、これも不動産業者を介して購入します。
 夜の間に空を飛んでくればいいのに、とか屋敷の所有者を操ってこっそり住んじゃえばいいのにとも思うのですが、そこにはおそらく言うに言えない彼らなりの事情があるんでしょう。

 その辺りの事情が描写されてると、もっと良かったと思いますが、こんな感じで妙なリアリティがあるんです。この妙なリアリティが本作品を荒唐無稽な物語にさせなかったのだろうと思います。

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