角川ホラー文庫から出版されている江戸川乱歩著「黒蜥蜴と怪人二十面相」を読了しました。
書籍タイトルは「黒蜥蜴」と「怪人二十面相」の二作品を単純に一つにまとめただけなので、別に黒蜥蜴と怪人二十面相が同時に出てくる訳ではありません。「この1冊で二作品が読めるのか!」というお得感を出せるタイトルだったら、もっとよかったんですけどね。ちょっと残念な気がします。
「黒蜥蜴」は妖艶な美貌を持つ女盗賊である。したたかで抜け目なく大胆、時には惜しげもなく一糸まとわぬ美しい肢体を衆人環視に晒し、なまめかしい舞踏をも披露する。
そんな彼女の「黒蜥蜴」という呼び名は、左腕に這う蜥蜴の入墨がその所以であったが、美しいものに目がなく、美しいものであれば宝石でも絵画でも彫刻でも、いやたとえそれが生きた人間であっても手に入れようとする狂気も持ち合わせており、「黒蜥蜴」という不気味に思える呼び名も満更的外れというわけでもなかった。
暗黒街の女王「黒蜥蜴」が今回挑戦状を叩き付けた相手こそ、稀代の名探偵・明智小五郎である。
果たして最大最貴のダイヤモンド「エジプトの星」を、明智小五郎は「黒蜥蜴」の魔手から守りきれるのか。
怪人二十面相と呼ばれる謎の怪盗が次々と犯行予告状を送りつけてくる。
羽柴家の仏像、日下部邸の古画、そして帝国博物館の全ての美術品と狙っているものが何かを隠そうともしない。
明智小五郎とその助手・小林少年が怪人二十面相に挑む!
黒蜥蜴と怪人二十面相 (角川文庫)
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江戸川乱歩と言えば、おなじみの明智小五郎ですが、素人探偵だった頃の彼とは違い、今や名探偵として名を馳せている明智小五郎の活躍を描くお話です。
「怪人二十面相」は子供向けに書かれたのか、読んでて「そんなバカな」と苦笑いしてしまう場面もしばしばです。後々、読書好きの小学生に大人気となる「少年探偵団」のまさに結成当初の様子を、本書で垣間見ることができるのは面白いですね。私も読んでいる途中で「そういえば小林少年っていたなぁ」などと、つい懐かしく思いました。
個人的には「黒蜥蜴」の方が面白く感じました。特に冒頭の「黒蜥蜴」の登場シーンはいいですね。宝石だけを身につけて裸で踊るところなんて、結構エロイです。
露出狂ですね。わかります。
そんなビッチな「黒蜥蜴」が明智小五郎に恋心を抱くシーンなどは、彼女の乙女振りに驚かされたりもし、明智小五郎も満更でもなさそうなのがまた面白さを増していると思いました。
犯人が誰か最初から分かっていますから、推理小説というよりも犯罪小説や冒険小説に近いとは思います。またトリックの類もかなり幼稚に思えるところがありますが、日本の推理小説の祖ということで、そこは寛大な目で評価したいと思います。
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