太平洋戦争の謎を取り扱った小説です。
個人的には嫌いではありません。太平洋戦争の発端そのものが、本来アメリカと水面下で仕組まれた予定調和であった、といった陰謀論やらが出てきます。
事実なのかフィクションなのか。
講談社のHPの内容紹介によると、「事実に基づいたフィクションである」らしいです。
当時の情報や情勢を私達が知るには、過去の文献などを調べるしかないのですが、客観的に事実が記述された資料ということになると、どの文献が一番信用できるのか、甚だ疑問です。
異聞 太平洋戦記 (講談社文庫)
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歴史というものは、その紡ぎ手次第で、ほんの少し記述を変えるだけで、読み手に与える印象を180度変えてしまいます。「侵略・侵攻」といった言葉も「国益となる経済圏の拡大・拡張」と変えてしまえば、仮に同じ事象を指していたとしても読み手側の受ける印象は大きく違ってきます。怖いですね。
そういう意味で、この小説を読むことで今知っている自身の知識や情報というものを今一度疑ってみる、別の角度や切り口で考えてみる、というのもまたいいのではないでしょうか。
一番印象に残っているのは、限りなく史実・ノンフィクションであろう「八重島事件」の話でした。
「真珠湾攻撃」のアメリカの陰謀説は結構有名らしいのですが、私はこの小説でそういう説があるのかと驚きましたし、「山本五十六」の話ではフリーメーソンの話はともかくとしても、本来親米派であるはずの山本五十六の言動が、いろいろな矛盾を抱えていた背景を考察する上で、面白い話だと思いました。
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