「死にぞこないの青」乙一 (幻冬舎文庫)

2011-11-02

その他の著者

t f B! P L


故意的なものなのか、書き手の素の技術的なものなのか分かりかねますが、語り手の少年らしさ、初々しさを感じさせる表現力が凄いと思ってしまいました。

些細なことで、学校内で先生を中心にいじめられるようになる主人公。
彼を責められる人っているんでしょうか。
いじめなんていじめられる方がちゃんと強く抵抗すれば、なんて言う人もいるようですけど、こういういじめの問題って個性とかその人の性格を無視して一般論として論じるのは、全く意味がないと思うんですよね。
抵抗できるような性格だったら最初からいじめられてないだろう、みたいな。

そして主人公の性格・個性から出来上がってしまう閉塞感。
誰も助けてくれないという絶望。
最終的には奇怪な少年「アオ」と関わる内に、主人公が自ら脱出することになるのですがね。


とにかくこの話に出てくる、胸糞悪い先生みたいな人間っていなくならないと思うんですよね。
いなくならないということは、つまりいじめもなくならないってことになるのですが。
ここ最近はテレビのニュースで取り上げられなくなりましたけど、いじめ問題っていまだにあると思うんですよ。
ただニュースにされず、忘れ去られてるだけで。

この作品は、なぜいじめが生まれるのか、そしてその被害者へ励ましのエールを送っている、そんな小説のように私には感じられました。
良作だと思います。


このブログで探す

最新の記事

プライバシーポリシー

当サイトでは、Googleアドセンスなど第三者配信の広告サービスを利用しています。このような広告配信事業者は、ユーザーの興味に応じた商品やサービスの広告を表示するため、当サイトや他サイトへのアクセスに関する情報 『Cookie』(氏名、住所、メール アドレス、電話番号は含まれません) を使用することがあります。 またGoogleアドセンスに関しては、このプロセスの詳細およびこのような情報が広告配信事業者に使用されないようにする方法について、こちらで詳細がご確認いただけます。

アクセス解析ツールについて

当サイトでは、Googleによるアクセス解析ツール“Googleアナリティクス”を利用しています。 このGoogleアナリティクスはトラフィックデータの収集のためにCookieを使用しています。 このトラフィックデータは匿名で収集されており、個人を特定するものではありません。 この機能はCookieを無効にすることで収集を拒否することが出来ますので、お使いのブラウザの設定をご確認ください。 この規約に関しての詳細はこちらをご確認ください。

連絡フォーム

名前

メール *

メッセージ *

QooQ