山田風太郎氏の短編作品集で、1976年11月に刊行されたものです。
つまり今から35年以上前に書かれた作品群ということになるのですが、普通に読めてしまえます。
そして面白い。
つくづく、本当に面白いものは時が経っても面白いんだなと実感させられました。
個人的には「女郎屋戦争」と「伊賀の散歩者」、そして表題作「剣鬼喇嘛仏」が楽しませてくれました。
全編を通して忍法や怪しげな術が次々に出てくる作品群なのですが、私が注目したいのはここに描かれる、生々しい人間達の描写ですね。
見方によっては喜劇とも悲劇ともなりうる話というのは、そこに生々しい人々が描かれているからこそ、と私は思っています。
切ない存在、儚い存在、滑稽な存在、いろいろ全部引っくるめて人間なんですよね。
詳細はネタバレになるのが嫌なのであまり書けませんが、これが映画にもなった「魔界転生」の作者の実力かと感心させられる一冊でした。
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